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佐々木幹郎 2017 中原中也 沈黙の音楽 岩波新書

昨日出かけた街中の書店で見つけた。 刊行は標記のとおり。 約二年前。 生誕110年、没後80年にあわせて準備されたものらしい。 著者について調べてみると、詩人でもあり、明治期以降の詩人諸家の歴史も追いかけている様子。 動画で話をしている様子を映している。 その動画で紹介されているもの 忘れられた詩人の伝記 - …
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飛んでくるあの飛行機には、 昨日私が昆虫の涙を塗つておいた

ナカオさんがカミヤベーカリーで展開した静かな個展に樹脂で成形した小さな飛行機のピンスが並んでいた。中原中也の表題の詩句がふと浮かんだ。遠い昔のこと故、少し変形されていたけれど。 透明な青い空に、青銀色の飛行機が筋をつけていく。 逝く夏の歌       中原中也 並木の梢が深く息を吸つて、 空は高く高く、それを見…
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あゝ おまへはなにをして来たのだと…… 吹きくる風が私にいふ

 あゝ おまへはなにをして来たのだと……  吹き来る風が私に云ふ  中原中也  山羊の歌  羊の歌 帰 郷      中原中也   柱も庭も乾いている 今日は好い天気だ     椽の下では蜘蛛の巣が     心細そうに揺れている 山では枯木も息を吐く ああ今日は好い天気だ   …
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「中也とその周辺  集成」について  小林秀雄のこと

「中也とその周辺  集成」について 小林秀雄の文章を最初に読んだのはいつであったろうか。高等学校の教科書であったか。戦火を被った廃材で作られた暗い部室に残された文章は後に、小林秀雄のランボオ論を下敷きにした習作だったかもしれないと思い至った。そして、その頃、ただ一度だけ程近い距離で生身のその人を仰いだ。出版社が企画する全国巡回講演会であ…
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踏み越えた先の途

高橋悠治が高田和子に贈った花筺(花筺――高田和子を悼み  高橋悠治)。 あるいは道浦母都子の若き日々。 旧い友人が川原で一人旅立った日。 踏み越えたその先には子どもの泣き声さえもが、現し世ではもはや得られぬ平和のしるしと響いたであろう。 通り過ぎてきた時を、ほんとうはだれも知らない。 そして、ともに流れていく。 …
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夏のざわめきのなごり

振り返ってみればこの時期、体調を崩すことが多い。 夏、身体の言い分を聞かずに動き回った報いか。 秋、焦って積み重なった仕事をこなした脳髄がまとまりつかぬまま混乱しているためか。 休息を入れても、身体の芯から疲れの素が滲み出してくるばかりである。 アルチュール、夏のきらめきと解放をうたった君は、常夏の地を心急くまま歩き、短い生…
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中原中也研究 第12巻

昨日、仕事の帰り道に立ち寄った書店のいつもの片隅に積みあがっていた。 昨日届いたばかりです。 店主が言う。 出版元から直接送ってくると聞いていた。 大江健三郎が渡辺一夫から受け取った中也署名入りの「ランボオ詩集」のこと。 イヴ・マリ・アリュー氏が中也の詩をフランス語訳し、出版したこと。 引用の引用 「今日伝説化…
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人生が二度あれば:YOSUIの60年

 YOSUI TRIBUTE が出て、3年の月日が経った。UAの歌う「傘がない」は再構成された「父」と幼い娘を描いた映画の中に流れているという。  われらが陽水はすでに60年目の日々を歩いているはずである。 「人生が二度あれば・・・」と歌ったとき、そこで歌われた父は65歳、そして母は64歳。 計算に間違いがなければ、その父母は…
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遠ざかる風景: 井上陽水( Yosui )の「少年時代」

 1999年にリリースされた井上陽水ゴールデン・ベスト・アルバム最初の曲は「少年時代」である。  この曲がつくられたのはおそらく1990年代の初め。陽水、初老(42歳)のころ。遠景に退いた少年時代が激情や諧謔をそぎ落とし美しく歌われる。もとより当時、同時代の音楽に縁のなかった身に、記憶が残るわけもない。しかし聞けば、この曲は義務教育の…
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「天井に 朱(あか)きいろいで」

 朝、雨戸を開ける前、すりガラスにうつった幾つもの小さな幻燈。  薄明るくなった天井に浮き上がった鳥の頭や、嘴や、目玉。  夢に泣いて目覚めた夜闇と昼のはざかい。  いじめたともいじめられたともそのいずれとも判じかねるあいま。  ファーブルの昆虫記、糞ころがしの玉虫に惹かれて山の赤土を掘り返した昼下がり。  見つけたのは山…
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la tristesse allante

 謎のウェブサイトに教えられて自慢げに言うことではないが、かの有名な「疾走する悲しみ」とは、もともと「モーツァルトとの散歩」の中でHenri Gheon(ごめんなさいアクサンがはいりません,アンリ・ゲオンかな)が使ったといわれる表題の表現を移し変えたものらしい。むかし、小林秀雄の著作で見ているはずであるが、今は調べなおす根気がない。 …
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ランボオの本、2冊

フランスから本が届いた。 ランボオ(1854-1891)についての画文集2冊。 文学とも芸術全般とも縁の薄い生活をしているのに、仕事を離れていつもと違う時間の中に入ると、ふいと気になってしまう。 1.Jean-Jacques Lefrere 2006 Face a Rimbaud. Phebus 2.Bernard Bous…
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無題

詩は生にそえられた補助線のようなものだ ランボオは裏切りだというだろうか このことには説明が要るだろうか わたしははじめ、長い文章を書いていた しかし、この一行がやってくると、すべては無駄に思えた 説明は要らない ********  補助線はしかし、くっきりと描かれねばならぬ。そのことによっても…
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少年よ

少年よ チチハハを乗り越えていけ チチの愛を求めてはならない ハハの過誤を背負ってはならない ここを旅立ち 遠い地から振り返るそのときまで 少年よ チチハハを乗り越えていけ ハハのぬくもりを求めてはいけない チチの許しを願ってはならない ただひたすらに 君の道を歩いていけ いま、答えの出せぬことは秘密の箱…
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「君を送ろうモーツァルト」

20代の半ばのことである。 それまで長く会わなかった旧い友人に再会した。 10代半ば、モーツァルトのおふざけに、純粋ならざるものを感じた互いが、そのときにはともになぜかモーツアルトに回帰していた。 「宇宙的孤独を感じるんだ」と。 そうか、モーツァルトに始まり、モーツァルトに終わるんだ。 童話に始まり、童話に終わる。 鮒釣りに…
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中也とその周辺  集成

 鴨長明さんが「ちうや」の請求をなさる。しかし、話し始めると、年寄りの繰言になりそうである。おばあちゃん、そのはなし、もうきいたよ。わが身のことながらうすうす気づいている。見栄かもしれぬが、あまり目立たずいきたい。  そんなわけで、とりあえず、ちうやに関連してこれまで書いてきた記事をこれまた集成版とした。 1.UAが歌う井上陽水…
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少年詩篇 「殺戮」

 ・・・・・ちいさな鶸のいのちに捧ぐ  殺戮     季緒(1963-1972)  童話  1. ぽぷらの木の下でかえるが鳴いておりました 弔いのうたをうたっておりました とおくとおくきこえてゆきました しずかなしずかな晩でありました  2. おてんとうさまが ポプラの木をひらひらひらひ…
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少年詩篇 「戀文」

・・・・シルヴィア・プラスに捧ぐ  戀文    季緒(1963-1973)  坂道のむこうに 坂道のむこうに ぽぷらの木がある いつも私のうえにたっている そのむこうに そらはうごかずに そのむこうに ほしはかがやかず 坂道のむこうに 「むかし」が埋もれてはいまいか 掘りあげた土が…
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暮のすさび: ランボオ『イリュミナシオン』からジェニー (続)

Genie  愛がふりそそぎ、恵みがもたらされる。荒れ狂う冬が迎え入れられ、夏のざわめきが館に満ちる。  卓上のあらゆる飲み物とご馳走とが清められる。これぞ、行き場のない人々をひきつけるもの。不安に満ちた宿場町を魅惑の場へと変えるもの。  愛がふりそそぎ、未来が約束される。力と愛。われらは憤怒と諦念のうちに嵐の空へ運ばれ…
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暮のすさび: ランボオ『イリュミナシオン』からジェニー

 愛がふりそそぎ、恵みがもたらされる。荒れ狂う冬が迎え入れられ、夏のざわめきが館に満ちる。  卓上のあらゆる飲み物とご馳走とが清められる。これぞ、行き場のない人々をひきつけるもの。不安に満ちた宿場町を魅惑の場へと変えるもの。  愛がふりそそぎ、未来が約束される。力と愛。われらは憤怒と諦念のうちに嵐の空へ運ばれ、夢うつつのうちに旗にあ…
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敗者への共感: 『エルンスト・シュタードラーの抒情詩』

 ドイツ文学者の三浦安子先生が、エルンスト・シュタードラーの詩についての著作を出された。1ヶ月半ぶりに戻った伴侶が、先生からいただいたその本を届けてくれた。  詩人は巻末の年譜によれば1883年にアルザスに生まれ、1914年に勃発したばかりの第1次大戦において31歳で戦死している。  三浦先生には、思いがけぬ縁から、2002年、ドイ…
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朔太郎 中也

「中也のメルヘン」について 猫 まつくろけの猫が二疋、 なやましいよるの家根のうへで、 ぴんとたてた尻尾のさきから、 糸のやうなみかづき[#「みかづき」に傍点]がかすんでゐる。 『おわあ、こんばんは』 『おわあ、こんばんは』 『おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ』 『おわああ、ここの家の主人は病気です』     …
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『アビシニアのランボー』  その後 

「フランスから本が届いた」について 『アビシニアのランボー』(東京創元社)の著者アラン・ボレル Alain Borer 氏のその後を、調べてみました。 以下のアドレスにあります。 右に掲げましたのはそのページに載せられていたものです。 最近のものであると期待します。 ttp://perso.wanadoo.f…
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「少年詩篇」 について 覚え書き その2

一月ほど前連載いたしました「少年詩篇」のシリーズの後編を少しずつ掲載いたします。 あらたに掲載を始めましたものは、先回の連載、詩集 『殺戮』 12編と対をなすものです。 こちらは、一部をのぞいては未発表のもの。 先回の連載、『殺戮』と同様、1963年から1973年までに作られたものです。 作者の10代半ばから20代始め…
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少年詩篇 13

無 題 きのうおまえに別れてから 私は街角で絵本を買って それを小包にして送った 一日が暮れるのがこわかったので 私は路地裏の草っぱらでかくれんぼをして めかくししてしゃがんでいた 別れなければならなかったのは おまえにではなく 私自身に だった 季緒 未刊詩集『戀文』(1963-1973)による …
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ランボー『イリュミナシオン』 末尾の散文詩 「GENIE」 についての覚えがき

 少し前、本屋に辻征夫や吉野弘の詩集の欠落部分を探しに出かけたところ、目的のものはなく、思いがけず、堀口大学訳『ランボー詩集』を持ち帰った。 巻末に訳者によるノートがついていた。 以前に話題になった『イリュミナシオン』の最後のGENIEについても短い記述があった。 精霊  この作品に対する諸家の意見は実にまちまちだ。すなわち…
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探し物がみつかるとき

ここのフリースペースにご紹介させていただいている、 開絵在明日之抱夢頁(アクエアリアスのホウムペイジ) http://ww4.enjoy.ne.jp/~aqua98/index.html を契機に、メールのやり取りをさせていただいた折、中原中也研究第8巻のことが話題に上った。 第8巻までは並べてあったはずの書架に、この第8巻…
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橋本一明のこと

「フランスから本が届いた」について それに、関連して飯島耕一『ランボー以後』についての記事もhttp://crossroad.at.webry.info/200509/article_39.html アルチュール・ランボーに関連して、話題になりました以下の図書、目次をメモしておきます。 そして、同じ著者のランボー論についても、…
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飯島耕一 『ランボー以後』

書棚の隅から、ほとんど忘れかけていた本を拾い出す。 はるか昔に手に入れて、しかし、読むだけのエネルギーもなく、しまいこんでいた。 箱にかけた帯に、小林秀雄訳『地獄の季節』との出会い、・・・友人橋本一明の死・・・朔太郎、となじんだ文字が飛び込んでくる。 ばらばらだった詩人たちとのつながりがぐるりと外の世界で結び合わされていく。 昭…
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「少年詩篇」 について 覚え書き

1970年代のはじめ、ごく少数の方にお渡しした詩集 『殺戮』の12の詩を掲載しました。 縦書きのものを横書きに変更したこと、冊子ではなく、ブログのページに順に載せたことにともなう、小さな改変を加えましたが、ほとんど、原作のとおりです。 それに先立つほぼ10年の間に出来上がってきていたものの一部です。 今回ご紹介するにあたって「少年…
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