ちいさいおうち

 Virginia Lee Burton, 1909 -1968によるThe Little House は1943年に出版され、ちいさいおうちとして1954年に岩波書店から日本語訳が出されている。
 子供のころ市が提供する移動図書館が近くの子ども会に定期的にやってきていた。はなのすきなうし、ひゃくまいのきもの、・・・。その一冊がちいさいおうちであった。木や草花に囲まれた小住宅がやがて人々の行きかう市街地の中心に埋まりつくす。その物語を、未来小説をよむように辿った。

 そのころ、戦争が終わって10年もたっていなかった。街はずれに新住民としてやってきた人々は田や雑木林のなかにいわば無政府的に広がっていった。北アメリカの小さいおうちの絵物語では何もない丘に建てられた小さな家に家族が暮らす。しかしここではすでに田を耕し、屋敷を構える旧住民がいた。新住民はその人々の住まいのはずれに新しい家々をつくったのだ。
 それから約半世紀。
 街の中心から郊外に延びる幹線道路に沿って走っていた市電は地下鉄にとってかわり、さらに郊外へとつなぐ路線バスのターミナルがつくられた。小さな個人商店の集合体だった市場は寂れ、大資本の経営する店に取って代った。落ち着いたたたずまいを見せた屋敷のいくつかはとりこわされて小規模の集合住宅となった。幹線道路に沿ってたっていた立て看板(その向こうにそは草の生い茂る空き地がひろがっていた)にかわって細長いビルが立ち並び、街は騒がしくなった。

 町の要であった旧住民は、新しい街の喧騒の中に埋まっていった。街は人々が通り過ぎていく騒がしい土地となった。
 そのことに古くからの町の人々はなかなか適応できない。あるいは、古くからの町の人々のしくみに、通り過ぎていく人々はなじむことができない。

 かつての小さなおうちの住民はどこか遠くへ移っていく。何世代ものちの家族が新しい街のなかに埋まっていたおうちを発見し、その家にふさわしい土地を求めて家を運んでいく。Burtonによる絵本では物語はそのように展開する。

 現世のここではどうなるのだろうか。
 これからの町、こらからの人々の生活の場は、どのようになっていくのか。どのように変えていくことができるのか。
 だれとどのようにその問題について話し合っていったらよいのか。
 問題を共有できる人々は少なくないはずである。

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