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あるひ突然 わが家に人がやってきて われら友達、なかよくしようと住み着いた

毎日、うまくいかないこともある。つらい思いもする。そして喧嘩も。 しかし、仲直りしたり、なんとか工夫して乗り越えたり、慰め合ったりしながらやっている。 そこへ、あるひ突然、どかどかと乗り込んできて、「僕たち友達」「なかよくしよう」。 なかよくするにはこの神様。 僕たちの家にしてあげるよ。 神棚つくり、一緒に守ってあげるよ。…
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少年詩篇 「殺戮」

 ・・・・・ちいさな鶸のいのちに捧ぐ  殺戮     季緒(1963-1972)  童話  1. ぽぷらの木の下でかえるが鳴いておりました 弔いのうたをうたっておりました とおくとおくきこえてゆきました しずかなしずかな晩でありました  2. おてんとうさまが ポプラの木をひらひらひらひ…
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少年詩篇 「戀文」

・・・・シルヴィア・プラスに捧ぐ  戀文    季緒(1963-1973)  坂道のむこうに 坂道のむこうに ぽぷらの木がある いつも私のうえにたっている そのむこうに そらはうごかずに そのむこうに ほしはかがやかず 坂道のむこうに 「むかし」が埋もれてはいまいか 掘りあげた土が…
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わすれられないゆめ

とおいむかしにみたのに、いまでもわすれられないゆめがある。 ひとつはまだおさないじぶん、たぶんしょうがっこうのいちねんせいか にねんせいだったろう。 じぶんでほっとけーきをつくってたべようとのこしておいた。 ひとしきりあそんで、いざもどってみるともうない。 くやしくてわんわんないているところでめがさめた。 でんきがついていてよ…
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えかきとものかき

しょうがっこういちねんとにねんのたんにんのせんせいはすこししらがのまじったおとこのせんせいだった。 アコーディオンをもってきてすばらしいこえで「まちぼうけ」のうたをうたってくれたこと、 「ながぐつをはいたねこ」「ちゅうもんのおおいりょうりてん」などのおはなしをかたってきかせてくれたこと(ほんをよんだのではなかった)、 さむいとちの…
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うらくさいさんちのねこ

こどものころ、なにになりたかったか、よくはおもいだせない。 そんなむつかしいことはかんがえてはいなかったきもする。 ものごころようやくついたころ、かんしゃというところにすんでいた。 いりぐちのみなみがわにすこしどくりつしたへやがあり、たいていそこはしょさいであった。 そのおくのみなみがわ、にわにめんしたところにかぞくのしんしつに…
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「少年詩篇」 について 覚え書き その2

一月ほど前連載いたしました「少年詩篇」のシリーズの後編を少しずつ掲載いたします。 あらたに掲載を始めましたものは、先回の連載、詩集 『殺戮』 12編と対をなすものです。 こちらは、一部をのぞいては未発表のもの。 先回の連載、『殺戮』と同様、1963年から1973年までに作られたものです。 作者の10代半ばから20代始め…
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少年詩篇 13

無 題 きのうおまえに別れてから 私は街角で絵本を買って それを小包にして送った 一日が暮れるのがこわかったので 私は路地裏の草っぱらでかくれんぼをして めかくししてしゃがんでいた 別れなければならなかったのは おまえにではなく 私自身に だった 季緒 未刊詩集『戀文』(1963-1973)による …
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王様のふくらんだおなか

王様は生まれたときから王様でした。 王様は生まれたときからお金持ちでした。 お父様もお母様もじつはびんぼうでした。 でもそんな話はささやかれることさえありませんでした。 お父様もお母様も息子の王様にだけは王様の中の王様だと思っていて欲しかったのです。 お父様もお母様も息子の王様にだけは世界中を買えるほど大金持ちだと思っ…
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「少年詩篇」 について 覚え書き

1970年代のはじめ、ごく少数の方にお渡しした詩集 『殺戮』の12の詩を掲載しました。 縦書きのものを横書きに変更したこと、冊子ではなく、ブログのページに順に載せたことにともなう、小さな改変を加えましたが、ほとんど、原作のとおりです。 それに先立つほぼ10年の間に出来上がってきていたものの一部です。 今回ご紹介するにあたって「少年…
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少年詩篇 12

最期の季節に 6 六月 暗い北窓で兇猛な鳩が雛をかえした その側で子どもらは 新しい花を埋めた きょうもまた林立する煙突からうすあおいけむりがたちはじめる 私と握手を交わすべき人はいったいどこにいよう           季緒(1972)『殺戮』より
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少年詩篇 11

最期の季節に 5 まぶしすぎる五月 黒い木々が街を揺らした 遠ざかるおまえの影がゆっくりと傾斜した 子どもたちは笑みをたたえ 秘かにナイフを握りしめた 人々はもう振り返ろうとはせず 慌てて帰途についた 子どもたちの目にあふれる涙に 揺れる街が映った             季緒(1972)…
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少年詩篇 10

最期の季節に 4    最期の朝 木々の葉がふるえていた 牛乳屋の自転車が音をたててとおりすぎていった となりの軒で鳩がひなをかえした まぶたに陽が痛い             季緒(1972)『殺戮』より
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少年詩篇 9

最期の季節に 3    四月 森の中でおまえが死んだ日 街は花ざかりで 川向こうをひとびとが ゆっくりと歩いていった 全てのものの陰惨(いんざん)さがそのとき 私の心を なごませてはいなかったか 余りに単調にすぎた冬の日々のつぎに そのようにして 毎日はやってきたのかもしれなかった           …
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少年詩篇 8

最期の季節に 2    街角 街の中 あちこちの角には、黒い服を着た男たちが立っていて 時々時計に眼を遣っては、まるでだれかを待ち伏せてでもいるかのように 鋭い眼をとおくへ投げかけるのだった。 坂道をのぼるうちに 私は 幾人もの老婆に会い 彼女らは 白い眼鏡のむこうから ゆっくりと私を見上げると そのまま そしら…
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少年詩篇 7

最期の季節に 1   五月 森の中で私は鮒を殺した 森の外は真昼で   子どもたちがキャッチボールをしていた 木々が風に揺れ   それが 私を脅かしたのだ              季緒(1972)『殺戮』より
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少年詩篇 6

天狗 7 子どもたちは絵本 緑の眼をした沼々の 原始林で泣いてた子どもらの 笑いながらお空 みあげてた 掘りおこされた昔の かんなの 赤い花びら は 私 振りむくことはあるまい だれたってつめたい けむり めざして えんとつ 子どもたち かくれんぼ お空には けむりのむこう ひややかな お寺の…
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少年詩篇 5 

天狗 3 お池の鯉 きのう 死んだ あめんぼたちは 笑ったろうか お池の 空 深い おにいちゃん おにいちゃん えーと、お寺の 空では とんぼはし かめつらするって? お池の鯉 きのう 死んだ        季緒(1972)『殺戮』より
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少年詩篇 4

天狗 1 お寺の空で笑ってた お前は 天狗 裏の墓地には木洩れ日 小鬼たちにこんにちはをしよう きのうもおとといも そのまたきのう くつおとひびかせ 通りすぎる兵隊 はとよ 地上へ降りるな かぜのふく日も! お寺の池にかがんでた かえでの葉をあめんぼがつたって お空にはくも         季緒(…
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少年詩篇 3

殺戮 あなたは笑って    引き金をひいた その顔は美しかった ぼくたちはもう   昔を思いだしたりはしなかった 雪は降ったがそれとても もう子どもの夢ではなかった ああ 僕たちの恐れるのはもはや僕らの足あとだけ   (無限は僕らのねどこ) あなたは笑って   引き金をひいた 僕とても せめて桜色にほほえんで…
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少年詩篇 2 

朝の太陽 子どもたちは絵本を描いて それで朝がきました そして私は   かき氷をつくって彼らを労ってやりました なぜって それはもうわからない  それはもうわからない 子どもたちはこごえた手で氷をすくって  朝の太陽はあまりにもひややかだったのですが ぼくたちは夢をみました 夢を見ましたが それはもう  思…
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少年詩篇 1

童話 1. ぽぷらの木の下でかえるが鳴いておりました 弔いのうたをうたっておりました とおくとおくきこえてゆきました しずかなしずかな晩でありました 2. おてんとうさまが ポプラの木をひらひらひらひら ゆらしておりました ふしぎの国のありすは 黒いかばんをどこへ はこんでいったのでしょう …
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もくれんの花  または 父の庭

 父は30代の半ばに手に入れた小さな家の庭にもくれんの木を植えた。  父の生家は農家だったから、いくつもの離れの部屋や、農作物を乾燥させるための庭、牛小屋、ぶた小屋、鶏小屋などのあるそこそこ広い家だった。  その家の総領息子として育った父が、戦争をはさんだ負傷、農村社会の激変の波にのまれて、家督を失い、小さな家を荷の重すぎる負債をつ…
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「君によせる愛はジェラシー」 1980年代の井上陽水

 1981年末に発表された井上陽水の「ジェラシー」は、不思議な歌である。  1981年、私は初めて欧州に渡った。短い2回の滞在のいずれも、日本への帰国便の中で、同乗した日本人のサラリーマンらしき人々の視線に当惑した。気のせいか、彼らの眼が「同国人の女ならいうことを聞かせてみせる」と言っているように見えた。日本人の留学生だった男性が…
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映画 『Big Fish おおきな魚 』 を観る

伴侶の祖父は、義母によればほら吹きだったという。 婿養子だった祖父は家族を置いて全国を飛び回っていたらしいが、事業に失敗して晩年は駅前の長屋に住み、往来する人々を呼び止めては昔話に引き込んでいたという。 その息子、亡くなった義父は兵役で広島に出かけた時以外は駅から遠く離れることなく一生をすごした。 孫にあたる伴侶は年齢を重ねるごと…
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初めての、そして最後の歌劇

 一度だけ、オペラを見に行ったことがある。   大掛かりな出し物は苦手なほうだ。着飾った人々、派手な音楽、そんなものの中にいると、自分の居場所ではないような気がして落ち着かない。能や文楽はまだよい。しかし歌舞伎は苦手である。バッハのコラールならよい。しかしワーグナーやベルディのオペラは避けてとおりたい。   だから…
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ワインの味わい

  ずいぶん昔になる。伴侶の友人が1年間パリに滞在した。帰国の折、餞別に家主から贈られたボルドーワインの一本がなぜか我が家に到来した。まだ練馬大根の畑に囲まれたアパートに住んでいた頃である。暗い台所で夫と二人でワインを開けた。マルゴオという、当時はまだあまり知らない名前がついていた。年代もかなり古くはあったが忘れてしまった。そして、…
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母の嘘

むかし、母はよく嘘をついた                        不思議なことに父はそれを、いつもいとも簡単に信じてしまった 父は厳しく家族は窮屈だった 母はその父に、嘘で立ち向かったのだったろう 苦し紛れに ぼくはまるでルピック夫人のにんじん少年のように 片隅で泣いてばかりいた 亡くなる少し前 父は二人…
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まだ見ぬ君へ

泣きたいのなら なけばよい 母の胸を両の手でうちたたきながら 嘆きたいのなら なげくがよい 墓石にこぶしの打ち砕かれるまで 罵りたいのなら ののしればよい 母の姿が涙にかすんでみえるまで 毒づきたいのなら毒づけばよい 父の墓のまえに突っ伏したまま 遠くへ行った人は戻ってはこない 喪われた時間はとりかえせない …
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